読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

Stitching A Garden

季節がめぐり例年より遅い春の訪れを実感できた頃、以前から気に入っていたクロスステッチのモチーフを刺してみようと思い立った。

 

庭のない都会の暮らしは、木々や草花の移り変わるさまに注目することなく12ヶ月が過ぎていく。 

 

そんな時、お気に入りのガーデンモチーフはちょっとだけ心を慰めてくれ、花木の植えられた広い庭のある家で生まれ育った記憶を呼び起こしてくれるようだ。

 

 

f:id:clematisgarden:20170424111943j:plain

 

  

刺繍は普段あまりしないのだけれど図案を見ることは大好きで、フランスの、特に二人のデザイナーのクロスステッチが好みである。

 

この図案もフランスのもので作者がはっきりしないが、作風からそのお二人の内の一人のものではないかと思う。

 

刺繍糸は指定糸ではなく、たくさんある手持ちの糸から色を選んで刺している。

 

 

 

リネン入りのアイーダにサクサク刺していくうち、何色もの糸をそれぞれ通した針を休ませておく大きめの針刺しが必要になった。

  

そこで、やはりクロスステッチで白いリネンで作ることにし、針刺し向きの図案をもう一人のデザイナーのものから選び、正方形の図案を長方形にするためレイアウトなどのアレンジを加えた。

 

その、元の図案からのアレンジがなかなか難しく、デザインを確定するまでに1日くらい費やしたが真っ白なリネンの目を拾って刺していく作業は楽しかった。

 

 

f:id:clematisgarden:20170424113156j:plain

 

 

中に詰めた綿はシリコン加工が施された化繊で、針が錆びないということであるので期待したい。

 

Champs とはフランス語で「野」や「畑」という意味。

 

今、刺しているモチーフがガーデンなのでテーマがお揃いになることを意識して作ってみた。(o^^o)

The Unique Postcards

1、2年程前に日本のオークションサイトでアンティークポストカードを見ていた時、このカードに目が止まった。

 

ヴィンテージ物でアーティストの名前も見たことがない。

 

でも、クォリティの高い筆使いが描き出す小さな世界に惹かれ、値段も安価だったため落札した。

 

  

f:id:clematisgarden:20170417143846j:plain  

Rie Reinderhoff ____ オランダの挿し絵画家である。

 

透明感のある背景に子供の妖精達などの黒いシルエットが映える素敵なポストカードである。

 

調べてみるとこの画家は同じモチーフで6種類のポストカードを残している。

ただ、残念なことにほとんど市場で目にすることがない物のようだった。

 

 

それが去年の冬、海外のサイトに出品され、購入することができた。

 

 

f:id:clematisgarden:20170417143950j:plain

 

しかも、嬉しいことに5種類のうちの欲しいと思っていた絵柄である。

 

1枚目を手にした時、このリズム、動を感じる絵柄を生かす為には2枚のポストカードがあったらいいなと思っていた。

その2枚が揃ったのでフレンチスタイルの額装に仕立てる予定だ。

 

 

 

そして、次の一枚はPauli Ebnerである。

 

今年初め、このポストカードを、時々覗く海外のオークションサイトで見た時はにわかには信じられなかった。

 

それまで全く見たことのないカードであったのと、Ebnerの作品としては意表を突かれたモチーフでもあったのだ。

 

そんな超が付くほどの珍しいポストカードが、オークションではなく、非常にリーズナブルな値で販売されていたのにも驚いたが、めぐり逢いだったのか購入することができた。

 

 

f:id:clematisgarden:20170417144059j:plain

  

水辺のモチーフが実に清々しい、Ebner円熟期の愛らしい作品だ。

 

縁あって、私の元に来てくれた長い長い時を経たポストカード。

大切に観賞したいと思う。

 

Christmas Is Coming

12月に入りクリスマスが近づいてきたので、未完成のまましばらく置いておいた、額に入れて飾るクリスマスモチーフの作品を仕上げようと取り出してみた。

 

cartonnageの課題作品だった一つで、パッチワークパターン用の2種類の布とそれを乗せる土台を作る布、フレームはあらかじめ決められている。

 

各ピースの台紙をカットし布を貼りくるみ繋げる作業と、それを乗せる台紙の作成はもう終わっているので、後は中央にある小さな八角形の窓から見える部分のデザインを決めて仕上げ、全部組み合わせて正方形の白いフレームに入れれば完成である。

 

f:id:clematisgarden:20161206202220j:plain

  

この窓というか、八角形の枠内だけはオリジナルになる部分で、以前、製作し始めていたものはもう一つ心にしっくり来なくて仕上げるのをためらっていたのだ。

 

f:id:clematisgarden:20161205235103j:plain

 

そこで、材料もテーマも一新し、ストックしてあるハワイアンクリスマスのプリント生地の中の一枚を使って作成することにした。

 

不思議なことに今回のデザインは数時間で決まったのですぐ作業に取り掛かることができた。)^o^(

 

そして、出来上がりはこのように。

 

f:id:clematisgarden:20161206174128j:plain

 

2色の水玉模様のパッチワークパターンの部分をクリスマスリースに見立て、かつ中央の八角形の部分のフレームの役割もしている。

 

小さな作品だが、目先が変わって楽しめるデコレーションになった。

 

濃いグリーンの生地のゴールドの文字は目立たせたいのだが、そのすぐ下にある赤い模様は見せたくない、と言うことで、そこをうまくカバーできるデザインにする必要があった。

                                  f:id:clematisgarden:20161206185633j:plain 

 

ワイヤー入りの幅広の透けるリボンを立体的に形付け、中には金糸の雪のモチーフをのぞかせるように配し、赤い模様を目立たなくさせ、かつ装飾的に仕上げてみた。

 

f:id:clematisgarden:20161206233022j:plain

 

Mele Kalikimaka とは、ハワイの言葉でメリークリスマスなのだそう。

 

今回のように、手持ちの材料を駆使して作品を仕上げる時はデザインとしてはいろいろと制限が出てくる一方で、出番を見出せずにいた素材にスポットライトをあてることができるというメリットもある。 

 

f:id:clematisgarden:20161206195300j:plain

 

ひとつひとつの素材の個性を間違わず正しく理解して、より輝ける"出番" を提供してあげられるようになりたいものだ。

 

簡単にできることではないが、様々な素材と向き合って創作の経験を積むことによって培われていくのかと思う。

 

 

 

 

Winter Time Ebner

初めて見るそのアンティーク本に惹かれたのはつい最近のことだ。

海外のオークションサイトでである。

 

f:id:clematisgarden:20161116184631j:plain

 

1920年に出版されたイタリア語の童話の絵本のようだ。 

挿絵はPauli Ebner、状態も良く絵柄も魅力的だった。

 

f:id:clematisgarden:20161116190410j:plain

 

これらは一部の頁だが、紹介されていたすべての挿絵が興味深く、色もたいへん鮮やかに残っていた。

 

f:id:clematisgarden:20161116190249j:plain

f:id:clematisgarden:20161116185049j:plain

f:id:clematisgarden:20161116185137j:plain

 

最初は安価であったので希望を込めて入札したのだが、終了間際、私の予算以上に価格が上がり、諦めたのだった。

 

 

その時に、代わりにこちらでもと超安値だったこのポストカードに入札してしまった。

結局、入札者が私一人だったのには驚いたが。        

                f:id:clematisgarden:20161121004733j:plain

 

Ebnerの人気の絵柄の一つで、私はこのシリーズのおそらく全種類の復刻版ポストカードを持っているが、アンティークは初めてである。

やはり、アンティークのポストカードは独特な魅力を湛えている。

 

f:id:clematisgarden:20161116130733j:plain

 

手元に届いたのは書き込みも投函もされていない、状態のいいものである。

絵の下の言語はあまり目にしたことがなかったので、調べてみるとハンガリー語のクリスマスの挨拶語のようだ。

絵柄はよく出回っているものだが、ハンガリー語のEbnerのポストカードは珍しいのではないだろうか。

 

 

そのすぐ後に、一年程前に見つけて以来欲しいと思っていたこのポストカードを購入した。

こちらはオークションではなくネットショップである。

Ebnerの珍しい絵柄のアンティークポストカードとしてはたいへんリーズナブルな価格だった。

                f:id:clematisgarden:20161121010539j:plain

 

これで、Ebnerの描く美しいsnowmanのアンティークポストカードは、嬉しいことに2枚になった。

私の知る限りでは、snowmanの絵柄は若年期に描かれたものを除くと4種類ある。

そのすべてが、雪原に集う子供たちと擬人化されたsnowmanの図である。

  

f:id:clematisgarden:20161116130807j:plain

 

こちらのフランス語の新年の挨拶の文字も、一枚目のハンガリー語の文字も当時は金彩が美しかったであろうことが窺われる。

 

今はわずかにその輝きの名残をとどめ、歳月の重みが濃い飴色の文字を鈍く輝やかせているだけである。

 

 

Mabel Lucie Attwell

数年前、初めて買ったアンティークポストカードは、Mabel Lucie Attwell(1879-1964) というイギリスの挿絵画家のもので、これは1926年 SUSSEX の消印がある。

               f:id:clematisgarden:20161116132737j:plain

 

Attwellのイラストはポストカードや絵本のみならず、子供用食器、手芸用生地、刺繍図案、子供向けグッズなどにも使われ、それらのヴィンテージものは母国イギリスのオークションサイトで今も人気のアイテムだ。

Attwellを知った頃は、その可愛い生地をオンラインで探し、cartonnage用にと買い集めたものである。

 

 

こちらは、6年ほど前にポストカード柄の生地のポストカードの部分だけを切り抜いて作成した箱と総柄の生地を使ったトランクのように蓋が開く箱。

 

f:id:clematisgarden:20161116153037j:plain

どちらもイギリス製でこのメーカーの赤は何とも言えない綺麗な赤をしている。

  

 

f:id:clematisgarden:20161116220810j:plain

蓋のグリーンと赤の部分、フレームの役割をしているのはクロスステッチ刺繍で、図案はAttwellのクロスステッチキットの中のトリミング図案を採用している。

言わば、Attwellづくしにしたかったのである。

 

 

f:id:clematisgarden:20161116153921j:plain

大きな箱の中は一つ一つ取り出して使える小箱で、絵柄のある底の部分には薄いキルト綿を入れている。

左側の空いている箇所にはミニブック型の箱が入るのだが、どこかに出してしまったらしい。(´・_・`)

 

今は、いろいろな種類のリボン入れとして役立っている。

 

 

Attwellの作品は幼な子の愛嬌のある素朴さが魅力なのだが、後年明らかに作風が変わるのは、彼女の死後、ビジネスを引き継いだ娘の会社の製作によるものであるからと推測する。

時代に呼応した戦略だったのだろうが、オリジナルの持っていたテイストは失われてしまった。

同じように、ある時期アメリカの大手食品会社の宣伝に使用されたAttwellのイラストの数々は、もう全く別物のようで残念に思う。

 

  

さて、随分前にそのアンティークポストカードを額装してみた。 

               f:id:clematisgarden:20161116140449j:plain

 

 

Cartonnage式で平たい箱の蓋の形をしている。

厚紙、スチレンボード、布、プリントペーパー、アートペーパーなどを使っている。  

               f:id:clematisgarden:20161116130654j:plain

 

実は箱の本体を作成していない。

箱型ではない方法にしようかと思い、手を止めてしまったためだが、やはり、箱で壁に飾るスタイルでもいいかな、と思い直している。

 

それよりも何よりも、飾りたいものが次々と控えているのだ。

新たに、Ebnerのアンティークポストカードが2枚届いたのである。

( ◠‿◠ )

 

Prayer For The Yamayuri-en

I would like to send my sincere condolences and sympathies...

 

For those who passed away at the Yamayuri-en in Sagamihara 

May their each precious souls rest in peace

 

For those who are injured

Hope you will get well and recover your lives as quickly as possible

 

For the families who lost their love ones and those who care for

My thoughts and my prayers are with you

 

May God bless you all for the rest of your lives

 

亡くなられた方々

        どうか 安らかに

        精一杯 生きて下さってありがとう

 

怪我を負った方々

        心も身体も

        一日も早く 回復されますように

 

ご遺族  ご家族  関係者の方々

        ただただ お祈りします

        苦しみ  悲しみが いつか和らぎますように

 

 やまゆり園に  

         一日も早く 平安が戻りますように

 

 皆さまの これからの人生が

         大いなるものに 見守られますように

 

 

              f:id:clematisgarden:20160729111540j:plain

 

Pauli Ebner

アンティークだったと思う、数年前、その画家のポストカードの数々をウェブ上で眼にしてから、現代物の復刻版ポストカードを集めるようになった。

アンティークポストカードにそれほど興味があるわけではなかったので、それで充分だった。 

                f:id:clematisgarden:20161121004314j:plain

                              

Pauli Ebner_____1873年ウィーン生まれ。20世紀初頭から1949年に亡くなる何年か前まで、幼い子供や子供の天使などをモチーフに数多くの作品を残した挿絵画家である。

その作風は、牧歌的な丘などで遊ぶ子供達を素朴なタッチで描いた若年期の作品から、背景を無くし赤い服を着た男の子や女の子を際立たせるシンプルなスタイルを取り入れたり、時代を経るごとに作風もモチーフも何度か大きく変化を遂げている。

円熟期には、人形やおもちゃを擬人化して子供と触れ合わせてみたり、幼な子が大勢で大人がするような職種に従事していたり、子供の天使達がパティシエとして甲斐甲斐しくスウィーツを作っていたりと、実に自由自在にその独創的な世界を創り出していた。

 

人気は欧米のみならず日本でも同様で、アンティークの物はモチーフによっては高値で取引きされる。中でも、クリスマスの作品群はEbnerの一番人気で、日本では20,000円前後の値のついた天使やフェアリーのポストカードもあるくらいだ。

 

復刻版ポストカードはどれもヨーロッパで印刷された物のようだが、生産国による印刷技術の差が大きく、以前、ある国から取り寄せたものは実物を見てひどく落胆したことがある。

日本で購入した、非常に綺麗な印刷の復刻版も何枚か持ってはいるが、石版印刷という、当時の技術で作られたアンティーク物を一度見てみたいとしだいに思うようになっていった。

 

 

そして、そのチャンスは今年の初めに訪れた。

あまり出回っていない、Ebnerのスノーマンのモチーフに以前から惹かれていたのだが、オークションサイトで落札することができた。      

                f:id:clematisgarden:20161121004409j:plain

                        

和紙のような縁の紙に色も美しく残り、Ebnerの柔らかく繊細なタッチが楽しめる、状態の比較的良い物だ。

 

f:id:clematisgarden:20161117150736j:plain

 

子供らしい、色鮮やかな服の色が雪の白によく映えていてとても綺麗だ。

 

 

それまで、アンティークポストカードはイギリスの挿絵画家の物を一枚だけ持っていた。

90年前の消印があるが、イギリスの印刷技術や紙は既に現代の技術や質に近かったのか、さほどアンティーク感を感じさせない、状態の良い物である。

それゆえか、積極的に2枚目のアンティークポストカードを買おうというふうにはならなかった。

だが、石版印刷と言われるEbnerのカードを手にしてみると、復刻版の物が何枚あろうとも、年月を経た一枚のアンティークポストカードの魅力には敵わないと思うのである。

 

 

そんな訳で、つい最近入手したカードはEbnerを知り始めた頃好きだった絵柄で、私にとっては初心に帰ったような感じである。

スノーマンも低価格で入手できて嬉しかったのだが、こちらは更に驚くほどの安値であった。

 

                   f:id:clematisgarden:20161121004501j:plain

 

カード全体の色は黄色が進んでいる印象だが、絵柄部分の発色はとても良い。 

印刷も鮮明で汚れも全く見当たらない。

  

                f:id:clematisgarden:20161118151202j:plain

 

綺麗におめかしした子供とその手にあるフラワーアレンジメント、白いクロスのかけられたテーブルの上には美味しそうなクグロフ、誰かに贈られるプレゼントの包み、花瓶のお花。

 

作風を変えながらも、繰り返し描かれてきたお呼ばれする子供達の情景で、Ebnerが好んで取り入れたアイテムが花束とプレゼントの箱、そしてベイクドケーキの3点である。

 

Ebnerの作品では、こういった脇役が大きな存在感を出していることが多い。

 

年少の子の面倒を見る年長の子、大忙しにスイーツを作る子供の天使達、人形の従者達に祝福され結婚式を挙げる子供のカップル、生き生きと手際よく接客をする子供の店員達、雪景色の中をクリスマスギフトを届け歩く子供達、聖夜に天から降りて来て家々を訪問する子供の天使達………

 

 Ebnerの描いた、平安な時を生きる子供達……

 

 私がEbnerを愛する理由が、そこにあるのだと思う。